旗竿地・敷地延長(敷延)とは?売却・購入のポイント

2019年09月25日(水)

再建築不可になる原因でよくあるのが旗竿地です。一般的にはデメリットが多くて売買がしにくいのですが、旗竿地ならではのメリットもあるため、掘り出し物の物件として扱われる場合もあります。

今回は旗竿地のメリット・デメリット、旗竿地ならではの活用方法についてご紹介します。

旗竿地とは?

旗竿地とはその名のとおり旗のような形状をした土地のことを指します。

図のように道路に接している路地部分(道路と敷地をつなぐ通路の部分)が狭くて長く、奥まったところに広いスペースがあるような土地です。敷地延長、敷延、路地状敷地とも呼ばれます。

どんな旗竿地が再建築不可に該当する?

旗竿地が再建築不可物件に該当する理由として接道義務が挙げられます。建築基準法では前面道路に2m以上接していない土地では建物を建てることが認められていません。路地部分が狭いがために再建築不可物件となってしまうケースが非常に多いのです。

また、道路と接している部分が2mあったとしても再建築不可になる場合もあります。接道義務にはもう一つ重要な条件があるのです。それは幅が4m以上(地域によっては6m以上)ある道路に接するようにしなければいけないということ。たとえ車が通行できる道であったとしても、幅が4m以下の道は建築基準法上では道路とは言えません。

「路地部分が狭い」「接しているのが道路ではない(私道)」のいずれか、もしくは両方に該当している旗竿地は再建築不可物件となってしまいます。

2m以上接していなくても建て替えが出来るケースも

基本的には前面道路に2m以上接している土地でないと再建築は認められていませんが、自治体によっては2m以下でも再建築が例外的に認められる場合もあります。

建築基準法43条2項には「交通や安全、防火、衛生上の支障がなくて、建築審査会の同意が得られたら例外的に建築を認めますよ」という記載があり、これに従って再建築が認められるケースもあるのです。

たとえば世田谷区では以下の条件をすべて満たしていれば、間口が1.8mでも再建築が認められています。

  • 平成11年5月1日以降の敷地分割がされていないこと
  • 一戸建ての住宅であること
  • 建築物の階数及び規模は、地上2階(地階無し)までとし、延べ面積は 200 平方メートル以下であること
  • 最高の高さは8メートル以下、軒の高さは7メートル以下であること
  • 建蔽率、容積率の算定に用いる敷地面積は路地状部分を除外すること
  • 準耐火建築物または耐火建築物であること
  • 隣地境界線から建築物の部分(外壁、出窓、バルコニー等)までの水平距離が有効で1メートル以上であること

また渋谷区の場合は、区役所にヒアリングしたところ以下の条件に当てはまる場合のみ間口が1.8mでも再建築が認められるということです。

  • 居住用の住宅であること
  • 建築物の階数は、地上2階(地階無し)までであること
  • 準耐火建築物または耐火建築物であること
  • 隣地境界線から建築物の部分(外壁、出窓、バルコニー等)までの水平距離が有効で50cm以上であること
  • 避難器具や防火設備を設けること
  • 道となる部分に、門や塀等を築造しないこと

「2m接していないから再建築不可」と諦める前に、まずは土地が存在する自治体のルールを確認してみましょう。

新築を建てたい場合は、土地の変動に注意

逆に古い図面があって接道義務を果たしていると思っていても、現況が異なっていて再建築が認められないリスクもあるので注意しましょう。実際に1cm足りなくて許可が下りなかったというケースも存在します。

「2m接しているはずだから大丈夫」と思い込むのではなく、測量士に依頼して現況を確認することが重要です。

旗竿地ができた原因

広大な土地はそのままでは売りにくいため、分筆(一つの土地を分割すること)して売られていましたが、その際には分筆した土地がそれぞれ接道義務を満たすようにする必要があります。

仮に長方形の土地の下に道路があったとしましょう。縦にそのまま線を引くように分割すると、短冊状の細長い土地が出来上がりますが、このような土地では建物が建てづらくなってしまいます。

そこで、前面道路に接している手前側に四角形の整形地を作り、奥の土地からは通路を引っ張って道路と接するような形で分筆する方法が盛んにとられました。こうして旗竿地が数多く生まれたのです。

昔の建築基準法では土地が道路に1.8m接していれば問題ありませんでしたが、戦後まもなく建築基準法が改正されて2mになりました。戦前に当時の建築基準法に則って路地部分が1.8mになるように分筆された土地に家を建てたものの、法改正がなされたがために現行法に合わなくなり、再建築不可物件になってしまったというケースが多いのです。

旗竿地のメリットとデメリット

旗竿地ならではのメリットとデメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

メリット

一般的には扱いにくいとされている旗竿地ですが、旗竿地だからこその良いところもあります。

土地の価格が安い

購入者にとっては土地が安い価格で買えるというのが大きなメリットです。一般の人は旗竿地を避けることが多いので、なかなか売れません。同じ条件の整形地と比較して2~3割安く買うことも可能です。

駅近など立地が良いエリアや人気エリアにどうしても住みたい場合、整形地では高くて手が出なくても旗竿地なら購入できることもあり得ます。また、土地を安く購入した分建物にお金をかけることも可能です。

奥まった土地なので静かで外から見えにくい

旗竿地では通りから奥まったところに建物を建てることができるので、人の視線が気になることはありません。プライバシーが守られた、落ち着いた生活を送ることができます。

また、道路から離れているので車の音や排気ガスなどに悩む必要がないというのも旗竿地の魅力です。

家の目の前に道路がなく安全

道路から離れているので、交通事故に遭う心配も不要です。家に車が衝突したり、垣根や塀を傷つけられたりということもありません。

子どもがいる場合は道路への飛び出しの心配も少ないので、安心して外で遊ばせることができます。

デメリット

メリットがある旗竿地ですが、デメリットも数多くあります。売買される前にかならず確認しておきましょう。

光や風がはいりにくく工夫が必要

旗竿地は住宅が密集していて、すぐとなりに建物があるケースが多いので、陽当たりや風通しはどうしても悪くなる傾向があります。家を建てる際には風通しが良くなる間取りを設計する、洗濯物を干す場合には少しでも陽が当たる場所に干すなど、工夫が必要です。

出入りがしにくい

旗竿地の路地部分は接道義務を満たすため、最低限の広さしか確保されていないケースが多いです。

特に車に乗られている方は不便さを感じるかもしれません。乗用車の横幅は1.7~1.8mほど。特に昔の基準で分筆された土地は車がギリギリ通れるくらいの通路しか確保されていない場合があります。車種によっては出入りができないかもしれません。

死角ができやすく防犯対策をしたほうが良い

旗竿地のメリットは外からの視線が気にならないことですが、これがデメリットになることも。死角が多いため、空き巣などに狙われやすい、不審者が身を隠しやすい環境にあります。

防犯ガラスを使う、センサーライトを設置する、玉砂利を敷くなど、防犯対策をする必要があるかもしれません。

建築費用や解体費用が割高になる可能性がある

路地部分が狭い旗竿地には建築用車両や重機、機材が進入することができません。その場合、解体作業や建築作業を手作業で行わなければいけませんので人件費が必要となり、通常の2~3倍になることもあります。

買い手が見つかりづらい

旗竿地を売却する人にとっては一番大きなデメリットです。上記のようにデメリットも多く、大多数の人が土地を購入する際には旗竿地を避けますので、売りに出してもなかなか買い手が見つからない可能性があります。手放そうにも手放せず、固定資産税や修繕費などのコストばかりがかかってしまうというケースも少なくありません。

仮に売れたとしてもメリットの項目で解説したように、相場の2~3割ほど安くなる傾向があります。

旗竿地はお金がかかる?購入・売却前にチェックしておきたいポイント

デメリットのほうが多く感じる旗竿地ですが、メリットも多く存在します。旗竿地を購入・売却する際には以下のようなことを確認してみてください。

路地部分は重機が入れる幅があるか?

旗竿地を選ぶ際には乗用車だけでなく建築用の車両や重機が入れるだけの幅があるかどうかも確認しておきましょう。特に接道義務を果たすだけの最小限の路地部分しか設けられていない、乗用車がギリギリ通れるような幅では、大きな建築用の車両や重機が入ることができません。少なくとも3mくらいは確保したいものです。

再建築不可物件にあたらないか?

旗竿地が再建築不可物件だった場合、そもそも新築や建て替えができません。路地部分が2m以上あるか、接している道路が4m以上(もしくは6m以上)あるかを確認しましょう。

接する道に車が往来していても、それが建築基準法上の道路であるとは限りません。確実に再建築不可物件かどうか見分けるためには役場に確認するか、測量士に依頼して測量をしてもらいましょう。

旗竿地の活用方法

旗竿地が再建築不可物件だったとしても、工夫次第で売れる・使える土地になります。旗竿地には、以下のような活用方法があります。

建物をリフォームして住心地の良い家にする

旗竿地にすでに建物がある場合は、リフォームやリノベーションをするのも手です。再建築不可物件はあくまで新築や増築が認められていないだけであって、改修はしても良いことになっています。

物件をリフォームして魅力あるものに生まれ変わらせることで、旗竿地の再建築不可物件であっても売却できる可能性が出てきます。また、購入者側にとっても、建物つきの再建築不可物件を安く購入して改修することで、快適に長く住める住宅を安く手に入れることが可能です。

隣地と土地の等価交換をする

路地部分が狭いことで再建築不可になっている場合は、隣の土地の所有者と等価交換して問題を解消できる場合があります。隣地の土地を路地部分の拡張のために必要な部分だけ提供してもらえば、接道義務を満たすことが可能です。その代わりに奥まった部分の土地を提供してもらった土地と同じ面積分だけ差し出します。

路地部分に隣接した土地を買い取る

隣の土地を買取ってしまうというのも一つの手です。資金は必要ですが、再建築不可も旗竿地も解消することができ、土地の面積も広くなり、不動産としての資産価値も格段に上がります。資金に余裕があって、隣の土地が空き地になっている場合などは検討してみても良いかもしれません。

旗竿地に強い買取業者に相談する

旗竿地は高値での取引が期待しにくいため、不動産会社も取り扱いたがらない傾向があります。なかなか買い手が見つかりづらい再建築不可物件だったら尚更です。

旗竿地を売却するのであれば、旗竿地に強い買取業者に依頼するのがおすすめです。専門的な知識やノウハウがあるので、旗竿地であっても好条件での取引が期待できます。業者が直接買取るので、すぐに土地を処分することも可能です。

買い手が見つからない旗竿地も、ぜひご相談下さい!

デメリットが数多くある旗竿地ですが、悪いことばかりではありません。デメリットを少なくして不動産としての魅力をアップさせれば、旗竿地でもしっかりと活用することができます。

当社は再建築不可物件や旗竿地など、売買が難しい不動産を積極的にお取り扱いしております。他社様では断られてしまったような物件も高額査定させていただき、好条件かつスピーディーに買取らせていただきます。

再建築不可物件の旗竿地がなかなか売れない、旗竿地を所有していて固定資産税ばかりがかかる……そのようなお悩みをお持ちでしたら、私たちにご相談ください。

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