収益物件売却で発生する「譲渡所得税」と節税方法

2018年08月16日(木)

不動産を売却した場合は、譲渡所得が発生するため売却額に伴って所得税が課されますが、条件による税率の違いや節税に使える控除を活かせばそれなりの節税が可能です。とくに収益物件の場合は期待できる収益と今後訪れる損失を考えながら売却を考えなくてはいけないので税金の計算はシビアな問題になるでしょう。

収益物件売却時に発生する税金

ローンの支払いがこれからできるのか不安、高く売れるうちに売っておきたい、相続争い対策に…マンションをはじめとした収益物件の売却を希望される方の理由は様々ですが、税金についてしっかり理解されている方は少ないです。そのためにマンションが高値で売れても思ったほどの利益が得られないというギャップを感じる方も少なくないようです。

売却によって入ってくるお金をしっかり計算して売り時を見計らえるようにこちらでは収益物件の売却で発生する税金を解説します。

印紙税

不動産を売却してお金を得た場合はその取引額に合わせて契約書と領収証に収入印紙を貼り付けます。収入印紙は取引が実際にあったことを証明するために貼り付けるためどちらかに貼るだけでは不十分です。また、契約書を複数作成するときはそれぞれに売主様と買主様が収入印紙を貼ります。正本を作成してそのコピーに署名捺印をしない場合は正本のみ収入印紙を貼ります。

登録免許税

登録免許税とは不動産の所有権移転登記をした際に支払う手数料のようなものです。不動産を売買した場合は土地、建物それぞれの価額に1000分の20の税率で登録免許税がかかります。ただし土地の売買にて平成31年3月31日までに登記を受けた場合は登録免許税が1000分の15になります。不動産の価額が1000万円なら5万円得する計算になります。

不動産の価額という表現ですが、これは実際の売却額とは異なります。不動産の価額とは固定資産課税台帳に書かれた数字のことです。安く売却するとそれだけ登録免許税が割高に感じるでしょう。

ちなみに、相続した後に売却すると相続登記の登録免許税と売買の登録免許税を支払うことになりますが一応の救済措置があります。

消費税

不動産は高い買い物ですから個人が売却する場合でも消費税を8%支払わなくてはいけません。しかし、建物は消費する一方で土地を消費することはできませんから消費税が課されるのは建物のみとなります。マイホームの売却は消費税がかからないとはいえ収益物件=マイホームとは言えませんね。

消費税は平成31年度より10%になる見込みですから登録免許税の変化以上の影響が考えられます。

譲渡所得税

不動産売買によって得られる収益は譲渡所得にあたるため譲渡所得税がかかります。給与所得や事業所得と税率が異なるので気をつけてください。

譲渡所得とは

譲渡所得とは資産を譲渡した時に発生する税金のことで、不動産を譲渡した時にも発生します。他には株式やゴルフ会員権を譲渡した場合も得た利益が譲渡所得に分類されます。

他の所得とは別で計算するものの、所得税と住民税が課される点は共通します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得を計算する時は実際に不動産を売却して得た金銭から取得費と譲渡費用を引きます。そうすることで売主様が実際に得た利益を計算できます。

つまり、譲渡所得=譲渡によって得た金額–取得費-譲渡費用という計算になります。

取得費とは

取得費とは不動産を得るために支払った費用です。例えば購入した時に課された登録免許税や不動産取得税などの税金や、建築にかかった代金、測量や整地にかかった費用、そして不動産購入の代金まで取得費として計算されます。

土地の場合はそのまま不動産購入の代金を引けば良いですが、建物の場合は年月が経つにつれ劣化していくため、価値の減少に合わせて調整します。収益物件であれば建物を取得してから売却するまでにかかった毎年の減価償却費の合計とします。

ただし収益物件についてかかった費用を事業所得の経費として処理していた場合は二重計算とならないよう取得費に含めません。

譲渡費用とは

譲渡費用とは不動産を売却するために支払った費用です。例えば今住んでいる人々に支払う立ち退き料や売主様が負担した印紙税、不動産仲介業者を用いた場合は仲介手数料も譲渡費用に含まれます。

つまり収益物件であっても取得費と譲渡費用の大きさによっては税金がそれほどかからないことがあります。譲渡所得税が高くなるということは取得時より価格が高まっていることを意味するため売主様の損にはならないはずです。

課税譲渡所得から税額を計算する

譲渡によって得た金額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡金額からさらに各種控除を引きます。これが、譲渡所得税の計算に使われる課税譲渡所得です。

課税譲渡所得にかけられる税率は譲渡所得の種類によって異なるので正しく計算しましょう。復興特別所得税として加算される2.1%も忘れてはいけません。

収益物件売却における節税ポイント

収益物件を売却して高い利益を得るためには高額査定をしてくれる買取業者を選ぶこと、そして出来る限りの節税をすることです。収益物件売却における節税ポイントはこちらの2つです。

物件の所有期間によって譲渡所得税の税率が変わる

まず、譲渡所得に関する税率は不動産を所有していた期間の分類である長期譲渡所得と短期譲渡所得で異なります。

長期譲渡所得とは売却した年の1月1日までで5年を超える所有をしていた土地や建物の譲渡によって得た所得のことで所得税が15%、住民税が5%かかります。つまり、譲渡所得についての税率はあわせて20%かかります。

短期譲渡所得とは売却した年の1月1日までで5年以下の所有をしていた土地や建物の譲渡によって得た所得のことで所得税が30%、住民税が9%かかります。よって、譲渡所得についての税率はあわせて39%となります。

つまり、取得してから5年を超える前に不動産を売却すると長期譲渡所得を得た場合に比べて倍近くもの譲渡所得税を支払うことになります。

不動産の売却を真剣に考えているなら短期譲渡所得を得た場合の収益と長期譲渡所得を得た場合の収益をしっかり比べなければいけません。すぐに不動産を売った場合は税金がかさむ一方で高い売却額が期待できます。逆に長期譲渡所得を狙って不動産の売却を待つと税金は安くなる一方で売却額が予想以上に下落するかもしれません。

この見通しは非常に難しいです。不動産に詳しいだけでなくその土地に精通していて世の中の動きも把握している買取業者へ相談しましょう。

譲渡所得税に比べれば少ないですが土地にかかる登録免許税が平成31年3月31日から0.5%増えることも注意しましょう。

特例・特別控除を活用

不動産の譲渡価額からは特別控除額を引くことができます。収益物件については公共事業のために譲渡した場合の最大5000万円をはじめとしていくつかの控除が使えます。しっかり調べる、あるいは特例や特別控除について詳しい業者から教えてもらうことをおすすめします。意外と知られていない控除としては平成21年及び平成22年に購入した土地を売却した時に受けられる1000万円の控除があります。

ちなみに収益物件を売却して新たな収益物件を購入した場合は購入代金の方が高かった場合に限り所得税の課税が繰り延べられその年の譲渡所得が免除されます。

まとめ

収益物件は一般的なマイホームより値段が高い、というより規模が大きいためそれなりの取引額になります。その売却益に基づく税金を知ってどのくらいのお金が入るのかを把握しておきましょう。特に節税については数万円、数十万円の効果を及ぼすので絶対に対策しておきたいです。

当社は他の不動産業者では買い取れないような物件も取り扱える買取専門業者で、高額査定と親身な対応に自信を持っています。収益物件を売却するタイミングで悩んでいる方や節税テクニックを使いこなしたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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