再建築不可物件のセットバックとは?注意点や購入時のポイントを解説

2019年09月02日(月)

土地探しをしていると「要セットバック」という表記を見かけることがありますが、セットバックとはいったいどのような意味なのでしょうか?セットバックをしないと建物は建てられないのでしょうか?セットバックをする際には費用がかかるのでしょうか?

今回はセットバックの基礎知識から、物件を購入する際の注意点や費用について解説します。

セットバックとは?

セットバックのお話に入る前に前提となる建築基準法について少し触れましょう。現在の建築基準法42条では幅員4m以上(一部地域は6m以上)の道路に間口が2m以上接していない土地に建造物を作ることは認められていません。(ちなみにリフォームは可能です。)道路の幅が狭いと災害時に消防車やパトカー、救急車などの緊急車両が進入できないことから、こうした要件が定められているのです。

2項道路とは?

ただし、実際には幅4m以下の、車1台がやっと通れるような狭い道の両側に民家が建ち並んでいる風景を見たことがあるかと思います。建築基準法が制定される昭和25年以前は自動車が一般的ではなく、1間(幅員1.8m)や2間(幅員3.6m)で設計された道路が多くありました。

いくら建築基準法が施行されたからといって、いきなり「家の前の道路幅は4m確保してください」と土地を道路として明け渡させるために建て替えを強要することは現実的ではありません。

そこで、幅員4m以下の道は建築基準法に定められる位置指定道路とは言えませんが、それを道路とみなして、「みなし道路に接して建っている建築物はそのままでもいいですよ」という旨が第42条の2項に定められました。この4m以下のみなし道路を「2項道路」と言います。

セットバックを行う理由

建築基準法42条では幅員4m以下の道路に接していない土地では建物を作ることが認められていないのは前述のとおりです。2項では現存する建物に関してはそのままでOKであることが定められていますが、これはあくまで例外です。従来の建物を取り壊して、新しい建物を作る場合には幅4mの道路に接していなければいけません。

その際に必要となるのがセットバックです。幅員4mを実現するためには敷地の一部を行政に提供して道路にする必要があります。道路と敷地の境界線が後退するから、セットバックと呼ばれます。

「要セットバック」の土地は、セットバックをして道路にすれば、建物を作れるという意味なのです。再建築不可物件と同様、一般的な不動産会社があまり取り扱いたがらない、資産価値が低い土地として見られる傾向があります。しかし、そもそも敷地が道路と全く接しておらず接道義務を満たせていない土地や、旗竿地と異なり、セットバックさえすれば再建築が可能となるという意味では再建築不可物件とは大きく性質が異なると言えます。

セットバックの注意点

セットバック物件で再建築を行う場合は具体的にどうすればよいのでしょうか?注意点を見ていきましょう。

セットバック物件の建て替えについて

前述のとおり、セットバック物件の場合は接する道路幅が4mになるようにセットバックしなければいけません。

具体的には、道路中心線から2mになるように土地を提供する必要があります。例えば幅3mの道路があって中心線から1.5mのところに敷地との境界線がある場合は、50cm敷地を後退させ、道路にしなければいけません。その分自分の敷地は狭くなってしまいます。

残りの50cm分は向かいの建物が建て替えとなったときにセットバックがなされ、将来的に幅員4mの道路が実現するということです。

片側が川や崖、線路の時のセットバック

特に注意が必要なのは道路を挟んで反対側に川や崖、線路など、境界線を動かすことができないものが存在する場合です。このときはセットバックの条件が異なります。

敷地の前に幅3mの道路があり、その向こうに川がある場合、向かい側の境界線はどうしても変えることが困難なため、自分の敷地を1m分道路として提供しなければいけません。向かいに住宅などがある場合と比べて自分の敷地面積が狭くなる可能性があることを念頭に入れておきましょう。

セットバック物件を購入する時のポイント

セットバック物件を購入する際には、通常の不動産を購入したときと比べて費用がかかる場合があります。いったいどのような費用がかかるのか、見ていきましょう。

また、固定資産税についても扱いが若干変わる場合がありますので、併せて解説します。

セットバックに掛かる費用について

セットバックをする際には道路中心点を定めなければいけません。測量士が測量を行って正確に中心点を求める必要があるので、測量費用がかかります。相場は数十万円です。

さらに、セットバックをして敷地を後退させたら道路として舗装しなければいけませんが、その舗装費用も必要です。セットバックした土地の面積によって費用は大きく異なりますが、こちらも数十万円の出費は見ておいたほうが良いでしょう。

測量費用や舗装費用は自治体が負担してくれる場合もあれば、土地の所有者が負担しなければいけない場合もあり、自治体によって対応が異なります。また、自分で負担する場合でも補助金を受けられるケースもありますので、まずは購入される土地を所管する市区町村役場に問い合わせてみましょう。

また、セットバックをすると自分の土地の敷地面積が狭くなってしまいます。直接的な費用とは言えませんが、資産が目減りするので損失と言えます。位置指定道路として土地を提供することになるので、行政に買取ってもらいたいと思うのが人情ですが、買取ってくれる自治体は稀で、ほとんどは寄付となっているようです。こちらも併せて確認してみましょう。

セットバック部分の固定資産税について

セットバックして自治体に提供した土地に関しては公共の道路として使われることになるので、基本的に固定資産税を支払う必要はありません。

ただし、自動的に固定資産税が免除になるということはありません。必ず市区町村役場にセットバックした旨を報告し、非課税の申告を行う必要があります。

土地の謄本やセットバックした敷地の面積がわかる測量図、その他各市区町村役場が必要とする書類を提出しましょう。本来なら非課税となるセットバック部分の固定資産税を、申告していなかったがために長年払い続けていたという方も少なくありません。

まとめ

セットバック物件は再建築不可物件とは異なり、敷地の一部を道路とすれば建物を作ることができます。そういった面では再建築不可物件よりも購入しやすい不動産と言えるでしょう。

しかし、セットバックする際にはさまざまな注意点を守らなければならず、費用が発生する可能性も高いです。セットバック物件を購入される際には、まず専門家に相談してみましょう。

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