契約不適合責任とは?民法改正による瑕疵担保責任の扱いを解説

2019年12月10日(火)

2020年4月1日に民法が大きく改正されます。そのなかでも注目されているもののひとつに「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されるということが挙げられます。特に不動産の売主様に対しては今までよりも重い責任が課せられることが予想されますので、物件を売却するなら、この改正についてはしっかり把握しておきたいところです。

どういう点が変わるのか?不動産を売買する際に何に注意をすればいいのか?わかりやすく解説します。

そもそも瑕疵担保責任とは

まずは現行の瑕疵担保責任について、再度確認しておきましょう。「瑕疵」とは、売買契約の対象物に本来備わっているべき機能や品質、性能、状態が欠けていることを指します。
建物であれば雨漏りしたり、躯体がシロアリに侵食されていたりといったことが代表例です。土壌汚染や近隣からの騒音、異臭、振動なども瑕疵に含まれます。つまり、何らかの欠陥がある状態のことを、法律用語では「瑕疵」というのです。

現行の民法においては、不動産を売却した後に隠れた瑕疵が発見された場合、買主は瑕疵の存在を知った時から1年以内に限り、売主に対して損害賠償を請求できます。また、瑕疵によって契約の目的が達成できない、具体的には住むことができなかったり、土地が活用できなかったりといった事態が発生した場合、契約解除を請求することができます。

民法改正により、瑕疵担保責任は契約不適合責任へ

瑕疵担保責任は買主を保護する目的があり、現行民法では以下のように定められています。

第 570 条

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

第 566 条

売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2 (略)

3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

2020年4月1日の民法改正では、「瑕疵」という言葉が「契約不適合」という言葉に置き換わり、「隠れた」という要件も削除されます。

民法改正での変更点

今回の変更は「言葉が変わっただけ」ではありません。今回の改正によって、売主様に対してより重い責任が課せられることになると予想されます。いったいどのような点が変わるのか?詳しく見ていきましょう。

契約不適合は債務不履行の一種として考える

現行民法では売買契約書を交わす時点で瑕疵があっても瑕疵担保責任を負うだけで、債務不履行(契約違反)とはみなされませんでした。債務不履行が認められるのは故意や過失によって生じる「過失責任」があるケースのみ。瑕疵担保責任はあくまで無過失責任という位置づけでした。

要はわざと欠陥があるまま不動産を売ってしまった、あるいは何らかのミスで欠陥がある不動産を売ってしまったというケースでなければ債務不履行にはあたらないというわけです。

これが民法改正後には瑕疵も債務不履行の一種として考えられるようになります。売買契約書の内容と異なるものを売るのは、債務不履行となってしまうのです。

仮に債務不履行となった場合、買主は目的物の修補、代替物または不足分の引き渡し、代金減額によって契約の履行を求めることができ、履行できなければ契約解除を請求することができます。

つまり、わざと欠陥がある不動産を売るつもりがなくても、あるいは手違いで欠陥がある不動産を売ってしまったというケースでも、債務不履行となってしまうということです。

隠れたものである必要がなくなった

「隠れた」という文言が条文から削除されるのも大きなポイントです。現行民法では買主が契約時に気づかなかった瑕疵があり、それが契約後に発覚した場合に瑕疵担保責任を追求できることになっています。

改正民法では隠れていた、隠れていなかったに関わらず、買主は売主に契約不適合責任を追求できるようになるのです。

瑕疵が隠れていたかどうかは重要ではなく、契約内容に適合しているかどうかという事実がポイントとなります。

数量不足でも契約不適合責任が生じる

現行民法では数量不足と瑕疵担保責任は別物として扱われてきました。民法の条文も存在しています。

第565条

前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。

改正民法ではこの条文が削除され、民法562条に統合されます。

第562条

1.引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。(改正後)

つまり、数量不足に関しても契約不適合として扱われ、売主は買主に対して責任を負わなければいけないということです。

買主が請求できる内容が増えた

今回の民法改正では消費者がより安心して目的物を購入できるよう、買主が主張できる権利も増えます。改正後は以下のような権利を行使できるようになりました。

追完請求権

現行の瑕疵担保責任では、瑕疵があった場合は損害賠償請求と契約解除しか認められていませんでした。しかし、改正後は追完(目的物の修補や代替物、不足物の引渡し)も請求できるようになります。「数量不足でも契約不適合責任が生じる」の項目で取り上げた第562条には「買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と明確に記載されています。

つまり、建物に欠陥があった場合には補修や代わりの物件の引き渡しを、不足している部分がある場合は不足分を補うものを引き渡すよう請求ができるようになるのです。

代金減額請求権

契約の追完がない、あるいは追完が不可能である場合は代金減額を求めることができます。

第563条

1.前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2.前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

  • 一.履行の追完が不能であるとき。
  • 二.売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  • 三.契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
  • 四.前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3.第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

購入代金を割り引いてもらうことで、契約不適合分の補完をするという考え方です。

損害賠償請求の範囲

現行の民法では債務不履行が売主の故意あるいは過失によるものではない場合、損害賠償請求をすることはできません。瑕疵担保責任にもとづいて損害賠償請求を行います。

改正民法でも同様に、売主に故意や過失が認められた場合は、損害賠償請求を行うことが可能です。
一方で改正後は瑕疵担保責任が廃止されます。その代わり、債務不履行時には前述のとおり追完請求や代金減額請求を行えるようになり、損失の補填に関してはそちらで行われるようになると考えられます。

したがって、改正前と改正後では、損害賠償請求の範囲は実質的には変わらないと思われます。

第415条

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

契約解除請求の条件

現行法では「契約の目的が達成できないこと」が瑕疵を理由に契約を解除するための要件でした。改正後は債務者(売主)が債務を履行せず、債権者(買主)が催告をしても契約の目的を達するような履行がされる見込みが明らかにない場合には、無催告で契約が解除できるようになります。

第542条

1.次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

(中略)

五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

第564条

前二条の規定(契約不適合があった場合)は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条(催告による解除)及び第五百四十二条(催告によらない解除)の規定による解除権の行使を妨げない。
(カッコ内追記)

不動産の売却でトラブルを避けるポイント

築年数が古い物件や再建築不可物件はどうしても瑕疵が発生する可能性が高くなりがちです。民法改正によってより重い責任が売主様に課せられるようになるので、買主との紛争になるリスクも高くなります。民法改正前においては売主様のリスクや負担を減らす方法として挙げられるのは、瑕疵担保責任を免責で売却することです。

東京土地開発株式会社では、再建築不可物件や築年数が古い物件は瑕疵担保を免責で買取しています。他社で売れない物件を極力ローリスクで売却するなら、私たちにご相談ください。

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